悩ましい下痢と便秘を繰り返す過敏性腸症候群に鍼灸がお勧め!!
2019年8月27日
過敏性腸症候群に、下痢と便秘を繰り返す交代型と呼ばれる症状があります。 下痢が何日間か続くと便秘になるという感じで、繰り返される症状です。
〇過敏性腸症候群は下痢が比較的に多い

過敏性腸症候群は持続された強いストレスにより生じます。
あなたがストレスを感じますと、ストレスに対応するべくストレスホルモンが脳から分泌されます。
この時に同時に大腸の蠕動運動が引き起こされることが分かっています。
大腸の蠕動運動が激しくなることで、腹痛と下痢を引き起こします。 比較的、過敏性腸症候群で下痢が多いのはこのことによります。
東京で働く女性には、特にストレスを抱えることが多いようで、他の地域より過敏性腸症候群でお悩みの女性が多い傾向にあるようです。
〇下痢と便秘を繰り返すのはなぜ?
過敏性腸症候群での下痢は、自律神経の働きから見ますと、交感神経が過緊張となり生じていると言えます。
逆に便秘は、副交感神経の過緊張により生じます。
副交感神経の過緊張が続きますと、大腸の運動緊張が強くなり、引きつりのような収縮が起こり、便の通過が遅くなっていきます。
便が大腸内に長く滞留しますと水分を過剰に吸収し、便が硬くなり便秘となります。
自律神経の交感神経と副交感神経はお互いにバランスを取り、拮抗しながら、あなたの身体が上手く働くように作用しています。
持続される強いストレスは交感神経が興奮することで対応していますが、それが長く続きますと、副交感神経が交感神経を抑制しようと興奮します。
交感神経優位が続くことにより、あなたの身体では自動的に副交感神経が優位になっていきます。
これが過敏性腸症候群で下痢と便秘を繰り返す、要因ではと考えられています。
下痢と便秘を繰り返していますと腸管内で炎症が起こり、その情報が脳に伝わります。

脳はそれをストレスと感じますので、ストレスを解消するようにと命令を出します。
これにより副腎よりストレスに対応するホルモンが多く分泌されます。
過剰に分泌されたストレスホルモンは、脳に逆流することが分かっています。
このストレスホルモンにより脳の働きが混乱します。 自律神経の作用が乱れ、ますます症状が酷くなるという悪循環を引き起こします。
〇交代型の過敏性腸症候群には鍼灸⁉
過敏性腸症候群で下痢と便秘を繰り返すのは、自律神経のアンバランスによるものといえます。
これを元に戻すには、自律神経のバランスを調えることが大切になってきます。 また、増えすぎたストレスホルモンを正常に戻すことも必要になってきます。
鍼刺激にはお腹に鍼を刺すと脊髄反射を利用してお腹の調子を調えることができます。
また、手足のツボに鍼を刺しますと、鍼刺激が脊髄を通り、脳に伝わります。

脳の視床下部は、自律神経の中枢です。ストレスホルモンを分泌するように命令する場所でもあります。
鍼刺激を受けた脳の視床下部は、ストレスホルモンの分泌を減らし、ストレスや不安を解消すると言われているオキシトシンの分泌を増やすように命令します。
脳の延髄にも刺激が伝わり、胃腸の蠕動運動が正常にもどります。
これらのことにより、あなたの過敏性腸症候群交代型が普通の腸の働きへと変化していきます。
この辺りのことは、金沢医科大学の佐久眞先生による「鍼治療の細胞内サイトカインおよび血中ホルモンへの影響」や台湾の中国医科大学病院のライ先生による「鍼治療-鎮痛を介した中枢性感作の緩和」などの論文があります。
鍼灸によりあなたのお腹の調子を整え、自律神経の作用を正常にすることや、ストレスホルモン分泌を普通にすることにより、普通の人と同じように過ごすことができるようになります。
交感神経と副交感神経のどちらの作用も興奮することにより、引き起こされる過敏性腸症候群の交代型にお悩みのあなたに、是非、鍼灸を選択肢に加えて頂ければと思います。